NHK FMの×(かける)クラシックも一時は放送中断に追いやられましたが、リモート収録を得てなんとかスタジオ収録を再開しました。
×(かける)クラシック、通称「かけクラ」はクラシックとそれ以外の様々なジャンルを掛け合わせて紹介していくというクラシックバラエティー
この番組の概要については以下の記事にまとめてありますのでよければこちらもどうぞ
そんな「かけクラ」の2020年6月のテーマは「ロック」
そこで”最もロックなクラシック曲”とは何かを検証するコーナーがあり、4週ぶち抜きで選ばれた曲が、おそらく誰も予想しなかった
ヒンデミットのビオラソナタ
でした。
「勝手にロックラ検証委員会」
そんな「ロック」×「クラシック」のコーナーとして登場したのがこの
「勝手にロックラ検証委員会」
ではこの「勝手にロックラ検証委員会」とはなんなのか
リスナーの皆様から送っていただいたロックなクラシックを、
本当にロックっぽいのかそうでないのかを検証し、
最終的には最もロックなクラシック曲を勝手に決めてしまおうというコーナー
とのことでした。
毎週暫定王者が決められ、4週かけて4曲ずつノミネートされた曲を検証していき最終的な月間王者を決めるというコーナーとのこと。
第1週目の放送
ノミネート曲
・交響曲第3番「オルガン付き」より第2楽章後半(カミーユ・サン=サンサーンス)
・世俗的カンタータ「カルミナ・ブラーナ」より「おお、運命の女神よ」(カール・オルフ)
・ブランデンブルグ協奏曲第5番より第1楽章(ヨハン・ゼバスティアン・バッハ)
・無伴奏ビオラソナタ op.25-1 より第4楽章(パウル・ヒンデミット)
結果
初戦から接戦で、特にカルミナ・ブラーナとヒンデミットは最後までどちらが残るか分からない状態だったのですが、
ここはMCおふたりの意見が一致した曲ということで、最終的にはヒンデミットが暫定王者となりました。
第2週目放送
数あるクラシック曲の中からヒンデミットのビオラソナタが残るという尖った展開になった1週目
第2週ではゲストにパスピエの成田ハネダさんを迎え3人で検証。
暫定王者ヒンデミットに加えて以下の曲がノミネートされました。
ノミネート曲
・ヴァイオリン協奏曲ニ長調 より 第3楽章の最後(ピョートル・チャイコフスキー)
・バレエ音楽「ガイーヌ」より「レズギンカ舞曲」(ハチャトゥリアン)
・聖ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン教会の鐘の音(マラン・マレ)
・ラ・ヴァルス(モーリス・ラヴェル)
結果
新ノミネートの中ではラヴェルのラ・ヴァルスが最も有力で
今回はラヴェルとヒンデミットで決められず持ち越しかと思われたのですが、
最後の最後でMCの上野さんの
「僕個人的には、ラヴェルとヒンデミットなら、ヒンデミットかな」
という鶴の一声で暫定王者ヒンデミットの2週勝ち越しが決まりました。
第3週目放送
1週目2週目を勝ち抜いた圧倒的強さを誇る王者ヒンデミットに対し、
第3週目では打倒ヒンデミットとして集まった曲の中から以下の曲がノミネートされました。
ノミネート曲
・楽劇「ワルキューレ」より「ワルキューレの騎行」(リヒャルト・ワーグナー)
・皮袋の中を開けたなら(フアン・デル・エンシーナ)
・スキタイ組曲「アラとロリー」より第2曲 「邪神チュジボーグと魔界の悪鬼の踊り」(セルゲイ・プロコフィエフ)
・トゥランガリラ交響曲より第5楽章 「星の血の喜び」(シャルル・メシアン)
結果
今週はゲストがいないこともあり厳しめな審査でした。
今回の4作品はいずれもこれまでの曲と比べて路線が異なるものが多く、間口が広がったという状況でした。
結果はというとMCおふたりがあげた2曲が
上野さんが
・革袋とヒンデミット
市川さんが
・メシアンとヒンデミット
であったので、重なったヒンデミットの3週勝ち抜けが決まりました。
第4週目(最終週)放送
ゲストに指揮者でありクラシカルDJの水野蒼生さんを迎え、今週は3人で最終的な王者を決めるという展開
最終週である今週も、圧倒的強さを誇るヒンデミットに相対す4曲のノミネート曲が出揃いました。
ノミネート曲
・春の祭典(イーゴリ・ストラヴィンスキー)
・ピアノ協奏曲第1番より第1楽章(ヨハネス・ブラームス)
・5つの呪文(アンドレ・ジョリヴェ)
・バレエ「四大元素」第1曲カオス(J・F・ルベル)
結果
なんといっても最後の「カオス」がものすごい衝撃。
MCとゲスト3人が3とも
・ヒンデミット
・ルベル
の2択まで残ったところで
上野さん、水野さんの一押しで
ヒンデミットが月間王者に輝いてしまいました
全国に衝撃を与えた2020年2月に放送された「今日は一日ビオラ三昧」の余波か
そもそもこの曲が全国的に注目を浴びるきっかけになったのが、2020年2月24日に放送された「今日は一日ビオラ三昧」という番組でした。
この番組、オーケストラの中でも一際”地味”な存在のビオラだけで6時間ぶち通しという正気の沙汰とは思えない番組だったのですが、なんと聴き逃しサービスで再放送されるほど大好評だったとか
そしてこの番組冒頭で東京フィルハーモニー交響楽団首席ヴィオラ奏者である須田祥子さんの生演奏で演奏されたのが
ビオラソナタ(ヒンデミット)
でした。
今回の「かけクラ」でこの曲を最初にリクエストして下さった方もこの「ビオラ三昧」の影響だったとのことで、「ビオラ三昧」の余波もあり最もロックなクラシック曲に選ばれてしまいました。
余談 「きらクラ」時代と比べると曲の幅が大分広がった印象
特に今月はこのテーマだから余計にかもしれませんが、
「きらクラ」時代と比べるとかかる曲が大分変った(あるいは広がった)という印象を持ちました。
それはMCが変わってゲストもこれまでの方とはジャンルや経歴が異なる方ということだけではなく、明らかに「きらクラ」からの継続(又は惰性ともいう)リスナーだけではなく新規のリスナーが少なくないと感じました。
もしかしたらテーマが「ロック」な今月終了と共にサヨナラするリスナーさんもいらっしゃるかも知れませんが、これを期にヘビーリスナーになってくれる人が少しはいるかも?
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