クローン病治療にレミケードは欠かせません。
自分もクローン病発症当初は酷い腹痛に発熱、倦怠感などがありなかなか日常生活を送れる状態ではなかったのですが、レミケードの投与でかなり症状が落ち着き、職場復帰も出来ました。
しかしこの薬、効果が大きい分副作用も大きいようで・・・
自分は2か月に1回のレミケード投与に加え、ペンタサ錠と免疫抑制剤の併用治療を5年間続けた結果
悪性リンパ腫を発症しました。
悪性リンパ腫とは
そもそも悪性リンパ腫とはどんな病気なのか
簡単に言えば血液の癌です。
がん治療.comさんのサイトには以下のようにあります
悪性リンパ腫とは血液のがんで、細菌やウイルスなど病原体を排除するなどの機能をつかさどる免疫システムの一部であるリンパ系組織とリンパ外臓器(節外臓器)から発生するものです。リンパ系組織は、リンパ節、胸腺や脾臓、扁桃腺などの組織・臓器と、リンパ節をつなぐリンパ管やリンパ液からなります。リンパ系組織は全身にあるため、悪性リンパ腫も全身すべての部位で発生する可能性があります。リンパ外臓器(節外臓器)は、胃、腸管、甲状腺、骨髄、肺、肝臓、皮膚などです。
がん治療,com 悪性リンパ腫とは より引用
同じ血液の癌で白血病があります。
治療方法は主に放射線治療と抗がん剤治療、さらに移植治療(自己移植)などがあります。
そもそもレミケードには悪性リンパ腫との関連性が指摘されている
レミケードを実際に使用している方がどれくらい把握されているかわかりませんが、
レミケードの医療用医薬品添付文書にてこのような記載がありました。
臨床試験における投与後3年間の追跡調査で、悪性リンパ腫等の悪性腫瘍の発現が報告されている。慢性炎症性疾患のある患者に長期の免疫抑制剤を投与した場合、感染症や悪性リンパ腫の発現の危険性が高まることが報告されている。また、本剤を含む抗TNF製剤を使用した小児や若年成人においても、悪性リンパ腫等の悪性腫瘍が報告されている。本剤に起因するか明らかでないが、悪性腫瘍等の発現には注意すること。
KEGGデータベース 医療用医薬品レミケード 添付文章より引用
これは自分の主治医が言っていたのですが、
科学的に因果関係が証明されているわけではないのでその関連性は否定出来ないが肯定も出来ない、と。
なので自分の場合も明確にレミケードが原因であるとは断定出来ません。
言えるのはレミケードを使っていた自分が当時20代でありながら悪性リンパ腫を発症したという事実だけです。
発症に気づいたのは腰痛だった
一般的にリンパ腫の症状というのは、リンパ節の腫れなどで、そこから病気が見つかることが多いようですが、自分の場合は”腰痛”でした。
原因は悪性リンパ腫が背骨に転移していた為、背骨の強度が落ちてが圧迫骨折しておりました。
この辺りの発症当初の話はこちらの記事にもう少し詳しく書きました
例え可能性が1%でも、かかった人にとってはそれがすべて
もちろんどんな薬には副作用があります。そのすべてを考えていたら薬は使えませんし
クローン病という病気と付き合っていくにはある程度強い薬を断続的に使うことは避けられません。
しかし、
例えばレミケードを使う人のうち1%の人が癌になるという話を医者からされた場合(あくまでも例え話ですが)1%であるから全く気にする必要がないかというと
結果的に99%の方に入れた人はそれで問題ないかも知れませんが、
1%に入った人にとってはそれがすべてである
なので可能性が低いことというのはもうなんの関係もありません。
癌は生きるか死ぬかに直結する病気です。
自分は運よく薬が効いて生き延びることが出来ましたが、そうでなく亡くなる方もいらっしゃいます。
レミケードを使用されている方はそのような可能性もあるんだということを頭に入れておいていただけたらと思います。
悪性リンパ腫が見つかったあとのクローン病治療は方針転換を余儀なくされた
悪性リンパ腫(具体的にはびまん性大細胞型b細胞リンパ腫)が見つかった後はクローン病治療は大きな舵切りを余儀なくされました。
レミケード、免疫抑制剤は完全ストップ。抗炎症作用のペンタサの服用だけになりました。
悪性リンパ腫は運よく治療の効果が出て寛解に
悪性リンパ腫の治療として抗がん剤投与が進み、自分は運よく寛解を迎えてその後も悪性リンパ腫が再発することはありません。(2020年現在)
クローン病の治療の方は、悪性リンパ腫の治療が終わった後もレミケード及び免疫抑制剤をもう使えないということになったのでペンタサ錠の服用だけになりました。
寛解を維持するために気を付けていることをまとめましたのでこちらも参考に
これまでレミケードを使っていることでクローン病の病状が安定していたので不安はありましたが、もちろん自分としても二度と使いたくありませんでしたので異論はありませんでした。
クローン病の病状が悪性リンパ腫発症前と比べても安定している
レミケードと免疫抑制剤をやめて4年経ちますが、
悪性リンパ腫発症前と比べても血液検査及び内視鏡検査の結果がよくなっており、それがずっと続いています。
これには主治医も驚いていて理由は不明とのことでしたが、もしかしたら抗がん剤治療がクローン病になんらかの効果があったのかも知れないとか。もちろんこれには医学的根拠はなにもありません。
レミケードの投与期間をどうするべきか、という問題
これは自分のクローン病の主治医がよく言っておりました。
即ち、「レミケード」という強い薬を一体いつまで投与すべきか
ずっと投与し続ける訳にもいかないのでいつか止めるタイミングを見極めなければならない。でもそれはクローン病の様子を見ながらでないと止めることは出来ない。
では投与し続けるとどういう問題が起こるか
強い薬故の長期使用の副作用です。
その一つの結果が自分の体験した「悪性リンパ腫」だと思います。
自分は運よく生き延びれたが、レミケードの投与にはリスクがあることを知ってほしい
本当に自分は運がよく、たまたま生き延びることが出来ました。
でもこれは誰にとってもそうではありません。
レミケードの投与から悪性リンパ腫が発症する方がいらっしゃるかもしれないし、そのまま亡くなる方がいらっしゃるかも知れません。
亡くならなくても、悪性リンパ腫の治療というのは長く辛いもので、さらに再発のリスクも高い病気です。その治療はクローン病と比べてもとても長く大変なものです。
レミケードを投与されている方には、このリスクを知っておいてほしいと思います。
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